8020運動とは
8020運動とは、厚生労働省と日本歯科医師会が展開している、「80歳になっても20本以上、自分の歯を保ち一生自分の歯で美味しいものを食べて、楽しい食生活を送りましょう。」というキャンペーン運動のことです。親知らずを除く28本の歯のうち、少なくとも20本以上自分の歯があれば、ほとんどの食べ物を噛み砕くことができ、おいしく食べられるからです。
歯を20本残すためのケアを始めるのは、早ければ早いほど良いです。年代ごとにみてみても、現実には、10代で歯を失う人は少ないですが、20代になると、親知らずの問題もあって、歯を失う人が増えてきます。また40代を過ぎると、一気に歯を失う人が増加します。これは、歯を失う原因が「むし歯」から「歯周病」へとシフトしてくるからです。むし歯と歯周病では、原因となる細菌の種類が違うので、ケアの仕方も当然ちがってきます。
当院で行う予防歯科とは
プロの手で歯のクリーニングを
口の中には300種類を超える細菌がいます。細菌が歯に付着して集団を作るとプラーク(歯垢)になります。そしてさらに、これらが鎧のようなバリアーをまとい、殺菌剤や抗菌剤などに対して内側の細菌を守るバイオフィルムになります。
年齢を重ねると歯と歯の間に隙間ができたり、治療した歯の数も増えてくるので、どうしても歯垢がたまりやすくなります。
そこで、定期的に歯科医院で専門のスタッフによる歯のクリーニングを受けるとあらゆるトラブルから口内環境をお守りすることがですます。
当院では、スケーリングや定期的なお口のクリーニング(PMTC)やブラッシング指導を行うことで、患者様の口内環境をお守りしています。
スケーリング
スケーリングは、歯の表面に付着した歯石や歯垢(プラーク)を除去する方法です。歯石は、歯垢が硬化して形成されるもので、普段の歯磨きでは取り除くことができません。
歯科医院での専門のスタッフによるケアが必要となり、スケーリングを行うことで、歯石を取り除き歯垢の付着を防ぐことができます。それにより、むし歯や歯周病などのリスクの低減につながります。
また、歯石は一度取り除いてもすぐに再形成されるため、3ヶ月~6ヶ月に一度の定期的なスケーリングを受けて、細菌の少ない口腔環境を維持していきましょう。
お口のクリーニング(PMTC)
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、専門のスタッフによる歯のクリーニングのことです。PMTCは、一般的な家庭での歯磨きでは除去しきれない歯垢や歯石、着色汚れを専門的な器具を使って除去します。
まず、ラバーカップに専用の研磨ペーストを付けて、歯の表面を磨くことにより表面の細かい汚れや着色を取り除きます。さらにフロスを使用して歯間の清掃を行い、歯垢や残留物を取り除きます。その他フッ素を塗布することで、歯の再石灰化を促し、むし歯予防効果を高めます。
定期的にPMTCを受けることで、口腔内の環境を清潔に保ち、口臭の改善や歯肉の健康を促進します。
ブラッシング指導
当クリニックでは、口内の検査を行ったうえで、お口の現状や将来おこりうるリスク等をお伝えします。そのうえで歯科衛生士が患者様に合わせたブラッシング方法や歯ブラシの選び方をアドバイスさせて頂きます。
歯垢(プラーク)の付着具合、むし歯のリスク等をもとにブラッシング指導を行いますので、より効果的なブラッシングの方法を身に着けていただけます。
定期歯科検診の重要性
年齢関係なく歯とは一生のお付き合いです。この先もずっと健康な口内環境を保っていかれるためにも、定期的なメンテナンスは非常に大切です。当院では、口内のあらゆるトラブルの予防を目的として、定期的な歯科健診をお勧めしています。
歯科健診の期間としては、約1ヶ月~3ヶ月に1度のペースで行っています。定期検診をおこなっていただくことで、小さなお子様であれば、むし歯が1本もないお口の環境をつくることが可能ですし、成人の場合は、治療した部分の再発予防、新たなむし歯、歯周病の進行、口臭、歯の汚れを防ぐことができます。
また、噛む能力が落ちてくると、口の中にある細菌が食べ物や唾液と一緒になって、間違って胃じゃなくて気管支や肺に入ってしまう、いわゆる誤嚥(ごえん)や嚥下(えんげ)障害が起こって、呼吸器系の病気になりやすくなります。
老人の肺炎の70%は、この誤嚥性肺炎が原因といわれています。一生お口の健康を保つことは非常に大切です。ですが残念ながら、毎日きちんと歯磨きをしているつもりでも、むし歯の原因となるバイオフィルムやお茶・コーヒー・タバコなどの汚れを完全には落とすことはできません。正しいケアに加え、定期的なプロのチェックがあなたの将来の口腔環境を守り、健康な歯を育てるのです。